にのだん社会保険労務士事務所

人と人をつなぐ「たすき」となり

人事労務管理全般をサポートします

にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和6年5月号(No.54)

【①父の遺族年金】

 先月お伝えしたとおり父が87歳で亡くなり、現在、名義の変更など様々な手続きを行っている最中です。今回初めての経験で、今後もやらなければならないことがたくさんあり、まだまだ落ち着かない日々が続いています。その中で先日、母親の委任を受けて年金事務所で未支給年金と遺族厚生年金の手続きを完了しました。

 未支給年金は本来、父が生きていれば偶数月に支払われる予定であった年金(4月15日の支払いは2月分3月分)が父親が亡くなったことで支払いが凍結されたため、最後に受け取ることの出来る年金(今回は3月途中に亡くなっているので3月分まで)を先順位者である母親が代わりに請求する年金になります。

 遺族厚生年金は、父が生前会社等の勤務で厚生年金に加入していた実績に基づき、まずは父親自身の老齢厚生年金の3/4が遺族厚生年金として計算されます。そして母親のように年齢が65歳を超えている場合、母親自身の老齢厚生年金と金額を比べることになり、先に計算した遺族厚生年金のほうが母親の老齢厚生年金より金額が上回っている場合は、その差額が母親が現在受給している老齢基礎年金と老齢厚生年金に加えて遺族厚生年金として母親が請求、支給されるかたちになります。

 場合によっては金額の比較でほぼ同じ、または亡くなった方よりも請求される方のほうが老齢厚生年金が多ければ、遺族厚生年金は支給されない可能性が高くなります。遺族厚生年金の制度趣旨が、長年勤務する夫を支えてきた主婦である妻のための年金という位置づけが今も残っているからなのかもしれません。

 なお父親は通算20年以上厚生年金に加入していたため、今回母親が請求した遺族厚生年金に「経過的寡婦加算」も計算に加わり、結果母親自身の老齢年金にプラスされることになりました。請求の際、父親が生前いくつかの会社を転々としていた記録を拝見しましたが、家族のために頑張って働いてきた歴史が今回の年金請求に反映されていることを実感し改めて「お父ちゃんご苦労様」と感じました。

【②仕事のとき励みになる言葉】

 私は今まで様々な仕事を経験し、その都度スキルアップを目指す過程でたどり着いたのが現在の社会保険労務士の仕事です。初めて就職した食品スーパーでの接客業、とにかく決まった休みを取りたい目的のみで転職した求人広告会社の営業職や人材派遣事業のコーディネーター、そして社会保険労務士の試験に合格してから実務を勉強したい目的で勤務した日本年金機構や健康保険組合の事務職など様々な職務経験の積み重ねが今に至っています。忍耐力がなかったため転職を繰り返したかもしれませんが、その時々で仕事が辛いと感じながらも、やりがいを感じた言葉や励みになった言葉がたくさんありました。

 食品スーパーの時は店内でお客様と対面することが多かったので、直接「ありがとう」と言われることが仕事の励みになりました。また管理職の時、クレーム対応でお客様の所に謝罪に行くとお叱りではなく「直接来てくれてありがとう」と思いがけない言葉を頂くことが仕事の励みになりましたし、夜の場合訪問する自宅が分からなくなることがあり、そういう時は家の前でお客様が手を振って「ここやで。わざわざ来てくれてすまなんだよ~(和歌山弁)」と言われると嬉しく心がとても救われた気持ちになりました。

 転職した求人広告の営業では、担当した会社やお店の求人情報を新聞折り込みに掲載する際、原稿のキャッチコピーについて悩み考えた結果「今回良い人材を採用することが出来たよ。本当にありがとう」と言われると苦労が報われたようでとても嬉しかったです。

 そして現在、社会保険労務士の仕事として顧客対応以外にも公共機関等の手続き業務や窓口対応の業務の機会も頂いています。お客様との話の中では専門用語が出るため、時には相手に伝わりにくい表現になることもあるかもしれません。しかし「今の説明とても分かりやすかったよ。今日は話を聞いて良かった。ありがとう」と言われる時が一番嬉しく励みになる言葉なのかもしれません。

 新しく仕事に就いた時はその都度失敗を繰り返し、未熟な自分を知ることが嫌になったり、時には理不尽なことで叱られることで仕事を辞めたいと思うかもしれません。しかし仕事仲間やお客様から掛けられる言葉が励みになり、仕事の楽しさややりがいを感じるきっかけになるかもしれません。この春から新しく仕事をスタートした新入社員の方にも、一日でも早くそのような励みになる言葉にたくさん出会って頂きたいと感じます。

~最後までお読み頂きありがとうございました~